青春18きっぷで里帰り!東京~新潟~山形の各駅停車のんびり旅行記

2019年8月、お盆休みに青春18きっぷを利用して、東京から新潟で1泊して山形まで、各駅停車でのんびり旅行をしてきました。

旅のゴールは山形の祖母宅。お盆だと飛行機代も高いし、せっかくなら寄り道しつつ、途中で美味しいお酒や郷土料理を堪能しちゃおうというわけです。

今回は、青春18きっぷを使った旅の基本知識や注意点、電車から見える景色などを中心に、【旅の移動】の部分を抜き出して書いていきます。青春18きっぷを利用して旅行してみたい方の参考になればうれしいです。

青春18きっぷとは?

JR各社が春、夏、冬の期間限定で販売している普通列車(快速含む)が乗り放題の企画商品です。
発売額11,850円で1日乗り降り自由の切符が5枚セットになっています。
ちなみに名称は「青春18」となっていますが、年齢制限はなく何歳でも利用できます。

青春18きっぷの仕組み

青春18きっぷは5日/人分が一枚のチケットに印字されており、駅員さんが最初の入場時に日付印を押してくれる仕組みで、以降は駅員さんに改札の出入りの度にきっぷを見せて通過することになります。同じ旅程であれば、複数人で利用することもできます

発売額11,850で普通列車乗り放題の1日券が5枚セットのため、1日あたりに換算すると2,370です。東京駅から東海道本線に乗って富士まで行けば乗車運賃の2,570円より安くなる計算です。もちろん往復すれば、片道1,200円程度の短距離でも安くなる計算ですが、青春18きっぷの真骨頂はやはり長距離移動。特に夏と冬の発売期間にあるお盆と年末年始の長期休暇を利用して、普段は新幹線などを利用する長距離をあえて各駅停車で時間をかけて格安に利用するのが醍醐味。

ちなみにJRの各駅停車で1日で移動できる最長距離は、東京を4時55分に出発し九州の小倉に0時04分に到着する、乗り継ぎ12回、乗車距離1,129㎞、約19時間の旅程になります。ここまでくるとほとんど苦行の域ですが、実際に達成する猛者がいるとか。

今回の目的は、各駅停車で車窓をのんびり楽しみつつ、各地で美味しいお酒と郷土料理を味わうなので、1日目2日目とも午前中に移動して到着後たっぷり時間を取る旅程としました。

1泊2日の旅程詳細 上野→新潟→山形

1日目 東京(上野駅)→新潟(新潟駅)

初日は頑張って始発に乗り、上野駅05時13分発→新潟駅11時29分着(6時間16分)という旅程を組みました。通常運賃は5,620円なので、青春18きっぷの1日当たり2,370円と比較すると、時間はかかるけど半額で移動ができちゃうということになります!

上野05時13分発高崎線→高崎06時55分着/高崎07時12分発上越線→水上08時17分着/水上08時28分発上越線→長岡10時18分着/長岡10時29分発信越線快速→新潟11時29分着

2日目 新潟(新潟駅)→山形(山形駅)

2日目は1日に5本しかない新潟と山形の米沢まで結ぶ快速べにばなという電車にあわせた旅程です。新潟駅08時40分発→山形駅12時25分着(3時間45分)。通常運賃3,350円なので、青春18きっぷを使うと1,000円お得です。

新潟08時40分発白新線羽越本線米坂線(快速べにばな)→米沢11時31分着/米沢11時36分発奥羽本線→山形12時25分着

全体の旅程を地図で見るとこんな感じです。

旅程作成上の注意点「難所」「混雑」「トイレ」

青春18きっぷで長距離を移動する場合、気を付けることがいくつかあります。

まずは「難所」と呼ばれる乗換。

幹線であっても列車の本数が一気に少なくなる区間があります。前後の区間は1時間に1本(東京にいるとこれでも少なく感じますが…)程度あっても、難所と呼ばれる乗換駅からは1日数本しか走らないということがあるのです。

どうして「難所」が存在するのか?新幹線の開通や道路網の発達で地方の列車本数が減少していることも理由ですが、各駅停車での長距離移動で県境や峠越えなどの人口過疎地を通過する必要性がある場合に普段は乗客が少ない区間が「難所」と呼ばれることになります。とにかく、避けては通れないことがほとんどなので、列車の乗り継ぎには注意が必要です。

今回の難所「水上→長岡」と「新潟→米沢」

今回の旅程では1日目の「水上→長岡」間と、2日目の「新潟→米沢」間が難所に該当し、どちらの区間も列車本数は1日に5本程度しかありません。難所と呼ばれる区間の平日の時刻表を見てみましょう。

水上新潟間は945に乗り遅れると次は4時間後青春18きっぷは途中下車が自由とはいえ、気が遠くなりそうな待ち時間です。

新潟→米沢間の難所は、厳密にいうと途中駅の坂町から米沢間の「米坂線」が難所と呼ばれているのでその区間の時刻表を貼っておきます。20時04分の列車は途中の小国止まりで米沢には行きませんので実質終電は18。Oh…

検索アプリでは、難所込みで最適な乗り継ぎをさらっと検索してくれますが、それを知らずに軽い気持ちで次の列車に変更などしてしまうと、乗り継ぎで目的の列車に乗れず数時間待ちぼうけなんてことも。

え、1時間半立ちっぱなし? 気を付けたい混雑時間帯

首都圏のラッシュアワーほどではないですが、地方でも通勤通学時間帯は混み合います。各駅停車の旅とはいえ、乗り継ぎは10分前後と便利なことが多いですが、混んでる時間に大きい荷物を抱えての移動は大変です。他の方の迷惑にならないようにということも気を付けましょう。

混み具合によっては座れない場合もあります。お盆や年末年始のピークシーズンは、青春18きっぷを利用した帰省者や旅行客が多く、大きなバックパックの乗客が多いなと思ったら、ほとんどの乗客が青春18きっぷ利用ということも。青春18きっぷの利用者は長距離が前提なので、空いたら座ろうと思っても終点まで誰も降りないなんて悲劇が…実際に彼は帰省時に青春18きっぷを利用して1時間半立ちっぱなしという状態を経験したそうです。

軽食持参+トイレは電車で済ますのが基本

長距離の乗り継ぎも10分前後と接続が良く効率的に移動できるのは良いのですが、食事やトイレが困るところ。食事は、乗り継ぎに余裕があれば、ご当地の駅弁を買うなんていう楽しみもありますが、移動を第一に考えるならコンビニでおにぎりやサンドイッチ、おやつなどを持参するのが安心です。

また、地方の列車や長距離を移動する電車にはトイレがついているタイプが多いので安心です。今回乗車した列車にも全てついていましたし、日本なので紙がなかったり汚かったりということもなかったです。新潟→山形間は和式タイプで少し驚きましたが…。

ただやっぱり揺れる車内で用を足すのは落ち着かないという方や、車内で何かを口にすることに抵抗がある方は、難所さえ超えたら、あえて途中下車して、トイレや食事の時間を取るなどの工夫があってもいいと思います。

1日目:東京〜新潟 青春18きっぷ旅行記

出発前日に川崎ミューザホールでのコンサートで感動の時を過ごし、その余韻に浸ろうと軽く飲み始めたはいいが浸りすぎて結局就寝が午前2時。上野5時13分発のため睡眠時間1時間程度で出発です。

2019.08.07 日フィル×小林研一郎×藤田真央 @川崎ミューザシンフォニーホール

朝食をとり、少しでも寝れるようにと上野から高崎駅まではグリーン車に乗車。青春18きっぷの利用でも、普通列車のグリーン車自由席は、別途グリーン券を購入することで乗車できます。

しかし、普段乗らないグリーン車に興奮して一睡もできず高崎到着(笑)。

高崎駅ではホームが変わり5番線へ。水上での乗り換えは先頭車両が便利なので一番前の車両で並びます。先行の信越本線横川行きが発車の後に水上行きが入線します。

通勤通学の時間帯で、乗車時は約7割ほどの混雑でしたが、途中の新前橋で立ち席の乗客もちらほら。それも水上までには青春18きっぷ利用の長距離旅行客とおぼしき乗客だけが残ります。同士よ…。

水上駅でも跨線橋を渡り隣のホームへ。

水上駅のホーム。のどかです。行先には山が迫っています。

水上での接続は、4両編成から2両編成になる場合もあるとの情報を得ていたので急ぎましたが、私たちの時は高崎からの電車と同じ4両編成なので急がなくても大丈夫でした。

水上駅を出発して2駅目に、谷川岳登山の入口&ニッチな観光地として有名な「土合(どあい)」駅があります。”モグラ駅”という愛称で親しまれていますが、その理由はなんと地下70メートルにホームがあるためです。また、ホームから出口までは、462段の階段を10分以上登らなくてはいけません。群馬県と新潟県の県境の谷川岳の下をとおるため、こんなに深い場所に駅があります。

土合駅では数分停車したので、電車から一歩ホームに出てみると肌寒いくらいひんやりしていました!調べてみると真夏でも16度にしかならないそうです。向かいに座っていた男の子たちのグループもはしゃいでいて、ああ、青春だなぁ…とほほ笑んでしまいました。

薄暗く夏でも涼しい駅は不気味な雰囲気すらありましたが、それでも登山リュックを背負った人や数名の乗客が下車していきました。

そして土合駅から続く長いトンネルを抜けるとそこはもう新潟県。トンネル内の冷気がこもってか、電車の窓が一気にくもりました。

夏なので雪はないですが周りに湯沢のスキー場が見えてきます。さすがにこのあたりまで来ると眠くなり、うとうとしていると長岡駅に到着しました。

ここで本日最後の乗り換え、新潟行きの快速列車です。115系という引退も近い古い車両ですが、レトロな新潟色の塗装になっていてかわいいですね。

驚いたのは乗車ドアが手動ということ!出発時には自動で閉まるのですが、空気で押し出されるような不思議なドアの動き方が面白かったです。

長岡から新潟までの区間は快速列車ということあってか利用者も多く、常に立ち席客がいて混雑していました。

そして予定通り、午前11時29分に新潟着!

水上駅でもし座れなかったら、6駅先の越後湯沢駅で降りてポン酒館に行こうね~なんて予備の予定も立てていたのですが、そうならなくてよかった…(笑)。到着後は駅で待ってくれていた友人の車で、へぎそばを食べに行きました。食事に関してはまた別途記事を書く予定です。

青春18きっぷ旅行記、お次は山形へ!

2日目:新潟~山形

新潟から山形への移動は山脈地帯を抜ける米坂線が直線で近いのですが、いわゆる「難所」で1日5本の列車のみ。時間的には新幹線が早く、いったん大宮まで戻って東北山形新幹線という倍の距離の大回りルートが最短です。

が、青春18きっぷの各駅停車でまさか大宮に戻るわけにはいかないので、最短距離の「難所」を通っていきますよ!

難所難所というものの、実は5本の列車の内、1往復のみ「快速べにばな」というチート列車が走っています。これに乗れば、通常5時間以上かかる旅程を1時間以上短縮できて米沢まで走ってくれて乗換も1回で済むのです!

快速べにばなを使えば新潟840分発で乗り継ぎ含め3時間45=昼の1225分には山形駅に到着できる算段です。ちなみにこの快速べにばなを逃そうものなら、接続が悪く5時間前後かかる上、次は1717分山形着という大幅な時間ロスに。

これは絶対逃せない~と、朝ご飯は新潟駅のVIE DE FRANCEでパンとコーヒーを購入し軽く済ませます。快速べにばなの米沢までの乗車時間は3時間弱。とりあえず早めにホームに向かいます。高架化工事が進む新しい新潟駅の高架ホーム4番線。通勤通学時間帯なので到着する列車から多くの乗客が降りてきます。

快速べにばなはワンマン2両の表示でしたがホーム上に乗車位置の表示がなく、ホーム上の「ワンマン」の表示板の間と見当をつけそのあたりで待ちます。

列車が入線しました。

各車両の前後2か所に扉があるタイプで、向かい合った2人と4人のボックスシートとロングシートです。約6割程度の乗車率でした。

新潟駅を出てすぐ左手に昨日見学した今代司酒造が見え、高架を降りてしばらくするとだんだん田園風景に入ります。風情のある通り道です。

快速運転は白新線から羽越本線の区間のみで、坂町から米沢までの米坂線の区間は各駅停車になります。それでも新潟から直通なのは大きな時間の節約。

ワンマン列車は無人駅の区間を走るので、その区間はバスと同じように整理券を取り、降車時に運賃箱に料金を支払うスタイルです。したがって降車は一番前の車両のみで行われます。

米坂線はしばらく川沿いを走り、山あいに入ります。いくつものトンネルを抜けカーブの続く線路を走ること2時間ほど。登りから下りに転じ、視界が開けて再び田園地帯が広がり米沢盆地が見えます。

途中の今泉駅では山形鉄道フラワー長井線の可愛らしい列車が止まっていました。

新潟駅から3時間、米沢駅に到着です。たくさんの人が降りましたが、ほとんどが東京方面の山形新幹線に向かっていました。わたしたちは跨線橋を渡り山形方面の列車へ。

山形新幹線が走る区間は在来線も線路の幅が新幹線と同じ標準軌なので、他の路線への乗り入れができませんが、見た目は普通の列車と同じです。

さて、残りの旅路もとうとう50分ほど!青春18きっぷで旅をしていると1時間程度の移動は短く感じてきます(笑)。乗り換えが終わってしまえば、後は電車に揺られるのみ、山形駅が見えてきました!

青春18きっぷ旅 東京~新潟~山形 まとめ

走行距離:1日目330.3km + 2日目187.0km 合計 =517.3km
移動時間:1日目6h16min + 2日目3h45min 合計 =10h01min
通常運賃:1日目5,620円 + 2日目3,350円 合計 =8,970円/人
節約額 :8,970円 – 2,370円×2 = 4,230円

新潟と山形でそれぞれ一泊したので、節約額はそれほどでもありませんが、各駅停車でしか味わえない風景やここには載せきれなかった新潟・山形それぞれでの出逢いやグルメも楽しめたので、そちらに節約分が分配できたと思えばおつりがくる旅路に思えました。

皆さんも機会があれば、ぜひ青春18きっぷでの旅を楽しまれてください。時刻表を繋いだり、今まで目にも留めなかった観光スポットを知ることができたり、計画する段階から楽しいとっておきの旅行になると思います。

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