恵比寿横丁の下町的飲屋街からお洒落な飲み屋まで、
その名も、
【バル デ オジャリヤ Bar de Ollaria】恵比寿店。
JR恵比寿駅から徒歩5分くらい。坂を下って交差点の広い通りを右に曲がり、大通りを進むと程なくして左手にあります。
金曜の夜でお店はすでに大賑わい。寒いのにテラス席にも人が…これは入れないかな?と覗いてみると奇跡的に一組分の席が空いておりました!
店内は、カウンター席とスツールで4人掛けのテーブル席が3組あり、決して広いとは言えないけれど居心地がよく何より禁煙。
まずはビールと前菜の盛り合わせ。タパスを3つ頼もうとしたら、お姉さんが「タパスを2つ以上頼まれるのでしたら絶対盛り合わせのほうがお得です!今お選びになったのも入っていますし、もう一つのタパスもお入れしてつくります!」とアドバイスしてくださいました。
お通しはマッシュルームのポタージュ。キノコ好きにはたまらんお味。キノコの味濃いよ~オリーブオイルがおいしいよ~チーズと胡椒の風味も最高~。
マッシュルームのポタージュと生ビールを交互に啜りつつメニューをしげしげ眺めていると前菜の盛り合わせが到着。写真では判りづらいですが足つきの高さのある木のお皿に盛られていてとってもオシャレ…!彩も華やかでおいしそうです。
そして見た目はカフェでも頑張れば出せそうな感じですが、カフェ飯とは一線を画すお味。素材のおいしさや調理の丁寧さ、スパイスの使い方や火の通し方などどれをいただいてもキラリと光るこだわりが感じられます。
それからお通しでも思ったんですが、オリーブオイルが本当においしい。飲食店だから回転が早いのは確かでしょうが、酸化した油でじんましんが出ることがしばしばある私にとっては重要なポイントです。風味もしっかり感じられます。
Fino y Palo Cortado フィノとパロ・コルタド
生ビールも飲み終わり、そろそろシェリー酒へ!グラスシェリーの辛口タイプから Fino フィノ と Palo Cortado パロ・コルタドをチョイス。
オーダーしていた甘えびとマッシュルームとドライトマトのアヒージョもやってきました。
まずはフィノを一口…しゅわぁぁぁぁっ ふわぁぁっなんか!蒸発!した!口の!中で!
そして後から襲い来るナッツ香。甘さは一切ないのですが、口に残るのは薄めたアーモンドのような香りで、最初はどちらかといえば複雑なハーブのような香りがします。ふぃぃぃなんじゃ!こりゃ!うまい!うまいぞ~絶対アヒージョと合う!アタリだ!これアタリ!(笑)
今までオロロソとペール・クリームしか飲んだことなかったので、最初の一杯から目玉が飛び出しそうでした。液体なのか気体なのかわからないものに喉が覆われる感じです。初めてウィスキーを飲んだ時に似ていました。この感覚懐かしいな…。
フィノはさっぱり辛口の薄金色なのに対して色味が全然違うパロ・コルタドはというと…フィノがどこか溌溂とした印象を与えるのに対して、とても優雅な角のない味がしました(アルコールの強さはあるけど!)。フィノがライトならパロ・コルタドはフル・ボディ。ずっしりとした熟成香に甘みも感じられます。
シェリー単体ならパロ・コルタドもとっても美味しいけどやはりアヒージョと合わせるならフィノかな。甘えびに火が通り感じられる僅かな歯応えと塩っ気、オイルに溶ける海老味噌の甘みとマッシュルームの香り、セミドライトマトの甘酸っぱさ…アヒージョのおいしさ成分全てに呼応します。おいしい…そしてこちらのパン、なんとおかわりができちゃうよ…。
はい。調子に乗ってパンをおかわりし、ほどよくお腹がいっぱいになってきたところで、いよいよオジャリアの看板メニュー、たっぷり魚介のメロッソをオーダー!〆に合うシェリー酒は…とメニューを見ながら悩んでいると、店長さんがやって来てシェリーを選ぶのを手伝ってくださいました!
まず私が頼もうとしていたアモンティリヤードはメロッソとの相性◎。シェリー酒の中でも魚介の出汁によく合うそう。彼は思い切って甘口に行こうかどうしようかと思っていると告げると「シェリーはお料理との合わせ方によって、また飲みたいと思っていただけるか、もう一生飲むか!と思わせてしまう、とても振れ幅が大きいお酒なんです!」というアドバイスが。
実はオールマイティなシェリー酒の魅力
ワインの一種とは言えど、ワインよりも蒸留酒に近いアルコールの抜け方や度数の強さと独特な風味から、今まで”食事に合わせて”シェリー酒を楽しんだことがなかった私。店長さん曰く、もともとシェリー酒には食前から食中、食後まで、どんなタイミング・どんなお料理にも合わせられるほどの種類があるのだそうです。
確かに先ほど飲んだフィノは塩やハーブ、オイル、お野菜や淡泊な魚介に合うあっさりとした辛口でしたが、同じ辛口でも一緒に頼んだパロ・コルタドは赤みのお肉に合いそうなしっかりとした味だったりと、それぞれにちゃんとした個性がありました。合わせ方によってお料理のおいしさが増幅したり、またその真逆に行ってしまったりするのも頷ける話です。
Amontillado y Medium アモンティリヤードとミディアム
店長さんのアドバイスを受けて、2杯目はアモンティリヤードとミディアムに決定!
アモンティリヤードは1杯目に飲んだフィノとパロ・コルタドを物差しにするとちょうど真ん中あたり。辛口ながらも色味が表すようにコックリとした香り、甘みがほのかに感じられます。子供のころに風邪をひくと舐めさせられた水飴のような薬の味を思い出しました(笑)。確かに魚介の出汁+トマトなどあっさりしつつもコクのある料理に合いそうです。オイスターソースにも合いそう。
ミディアムは「スペインの紹興酒」というシェリー酒の異名も納得の味。とっても紹興酒っぽい甘みがあります。中華料理や少し癖のあるお肉料理なんかに合いそうです。洋ならラム肉に合いそう。
メロッソとはスペイン風おじやのことで、メロッソを調理するためのこのツボのような形の鍋のことを「オジャ」と呼ぶそうです。日本の「おじや」の原型ともいわれているそうな。店員のお姉さんが蓋つきのまま持ってきてくれて、綺麗によそい分けてくれました。
サラッとしたテクスチャーを残しながら魚介の旨味が溶けたスープにご飯が包まれていて、優しいお味です。具の魚介も豪華!
ムール貝にカニ、イカ、アサリ、エビ…エビフリークとしては、アップで撮っておかねばなりません。
ぷりっぷりやがな。
ぺろりと完食し、デザートへ行くかどうか悩んでいると再び店長さんがやってきます。
「デザートどうしようか、悩んでます?」
エスパーなのか?それとも私たちの思考がよほど駄々洩れなのか?こちらのお店、店長さんだけでなくスタッフのお姉さんも始終気遣いが素晴らしく感激しました。声をかけてくるタイミングが憎い!
Moscatel y Pedro Ximénez モスカテルとペドロ・ヒメネス
店長さんに薦められるがまま、甘口のシェリー酒をデザートに注文!「大人のレモンティー」という説明書きに惹かれてモスカテルとペドロ・ヒメネスというタイプの極甘ワインをかけたバニラアイスをいただくことにします。
まずはこちら Lerchundi Moscatel de Chipinoa (レルチュンディ・モスカテル・デ・チピオナ)。ブドウが原料なのにレモンティー?と味の想像ができずにいましたが、思ったよりレモンティーです。まさしく午後ティーのレモンティーを濃密にしたような…。モスカテルという名前でピンとくる方もいるやもですが、原料がモスカテル=モスカート(マスカット)のシェリー酒のことをいいます。レモンティーの味わいに化けるのはだからかな?。しつこすぎない甘みにも納得。
オシャレな冷たい岩のプレートに乗せられて出てきたバニラアイス。ペドロ・ヒメネスを目の前でたっぷりかけてくれます…!
事前に「黒蜜みたいな味がします」と説明を受けていましたが、ぶどうの酸味がしっかり残っていて、黒蜜嫌いなわたしでも(なぜ注文した)全然いけます。レーズンのようにブドウを干して凝縮させてから作るシェリー酒だと聞いていたので、濃厚な甘さの後にぶわっと広がるフレッシュな酸に驚きました。また、アロマはイチジクやレーズンなど女性にうれしいドライフルーツ系の香りがします。実際に鉄分タップリなんだそうですよ。極甘だけどさっぱりしていて癒される!バニラアイスとも相性抜群です。
こちらのペドロ・ヒメネスのEL CANDADO エル・カンダドは、「南京錠」という意味で、実際にキャップ部分に南京錠を模した飾りがついています。「子供が飲めないように」とか「鍵をかけてしまっておきたいくらい美味しい」とか由来は諸説あるそうです。
シェリー酒についてのお話を伺いながら、店長さんの経歴に触れると、なんとシェリー酒を注ぐパフォーマンスを披露してくれました!実は、店長の横尾さんは2011年に行われたベネンシアドール公式称号資格認定試験の最優勝者でもあるのです。トップ・オン・トップですよ!
ベネンシアドールとは細長いひしゃくのようなもの(横尾さんが手にしている道具)「ベネンシア」を使ってシェリー酒の入った樽から、シェリー酒をシェリーグラスに注ぐ人のこと。狭い店内でも一滴も零さずに華麗にシェリー(に見立てた水)を注ぐ横尾さん。圧巻です。最初見切れていてすみません…。
お腹も心も満たされて、お会計をしているとなんと料理長の浅井さんまで出てきて挨拶をしてくださいました。お店の外までわざわざお見送りしてくださり、おふたりそろってノリノリで写真まで取らせてくださいました。
「ラーメン屋みたいにポーズする?」「いいね」と、とても仲のよさそうなおふたりに思わず顔がほころんでしまいます。シェリー酒のスペシャリスト・ベネンシアドールの横尾さん、本格的だけどほっと心まで温まるおいしいお料理を提供してくれるシェフの浅井さん、おふたりとも素敵な時間をありがとうございました!また必ず伺います!
恵比寿で禁煙のスペインバルをお探しの皆様、バル・デ・オジャリアで奥深いシェリー酒の世界と絶品のお料理を堪能してください。虜になること間違いなしです~。
今回訪問したお店の情報
店名: Bar de Ollaria バル・デ・オジャリア 恵比寿店
営業: 17:00-23:30 (L.O. 22:30)
電話: 03-5420-0936 (予約の電話は15時より受付)
住所:〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿1-22-23 ヴェラハイツ恵比寿108
URL : http://ollaria.com/