2017年 純米酒フェスティバル秋の陣に参加してまいりました。
毎年あっという間に受付が終了する午前の部。おそらく申し込み順の席位置でなかなかの速さだったのであろう、4番テーブルに着席します。
今年は夏の旅行の帰国日、移動途中で申込が始まったので、スマホで滑り込めるかドキドキだったのですが、日暮里駅にて、鬼の形相で奮闘した甲斐がありました(笑)。
出展蔵数は、例年に比べ少なめの26蔵。その内5蔵が初出展です。今回は初出展の酒蔵さんを中心に回ってみようと思います。(記事内では★が初出展)
開会宣言の前に会関係者からのお話をそわそわしながら待つ大人たち。まるで朝礼の校長先生のお話状態です。今年は私もこのソワソワした雰囲気の中スタートダッシュの体制を整えます。そう、狙うは「梵」の会場限定酒です!
純米酒フェスティバルスタート!
毎回横目で見てきた開会直後の「梵」ブースの場外まで続く長蛇の列。
前回の春の陣でお土産にいただいた「梵」が強烈に、うなるほど美味しかったので、今回はわたしも並んでみることにしました。
今まで意識していなかったのですが、毎回会場の出入り口に近い場所にブースを構える梵は、申し込みが早ければ早いほど席が近くなる位置にあります。
梵 超吟用 中取り無濾過生原酒 (純米酒フェス限定)
純米酒フェスティバルは基本的に「試飲」と呼べるくらいの量を楽しみながら各蔵を巡るイベントですが、入場時に貰える3枚綴りの「味わい券」を使うと写真のように並々注いでもらえるのです。さっそく、梵で味わい券を使い、席に戻ります。
一口目はよい香りのまま、口に含んでもとてもフルーティーで華やか。見える色はピンクをベースにレモンイエローやグリーンが光るフローラルカラー。雑味を一切感じさせることのない美しい仕上がりです。
食事とは合わないかしらと思うもそんなことはなく、塩気のあるお料理の後に飲むと単体では少し細かった余韻が、ふわっと甘みが残ってまろやかに舌の上に玉を残していきます。素晴らしい!素晴らしいぞ〜!
梵の儀を終えて席を立ち、目指すは初出展・福島の金水晶、の前に手前のブース 巖(いわお)に惹かれて立ち止まります。
☆ 巖 (いわお) / 群馬県 高井(株)
巖 旨味純米原酒
まずいただいたのがこちらの 巖 旨味純米原酒。熟れたバナナのような味と香りで、日本酒では独特に感じられる甘みです。個性的だけど親しみがわく、ぽってりとした味で、秋の夜長にひとりでゆるゆる楽しみたい感じ。
巖 純米吟醸
2020年に向けたオリンピックラベルもあるこちらは 巖 純米吟醸。バナナに比べればマイルドな味わいですが、旨味が強くストレートにおいしいお酒です。
巖 痴虫 3号
ラベルから漂うエロスに惹かれてこちらも試飲しました。このラベルの絵を描いた佐伯俊男の作品集のタイトルにもなっている痴虫。佐伯俊男は、寺山修司や澁澤龍彦に認められ、アメリカやフランスなど海外でも人気のあるアーティストです。
酒の方は痴虫1号〜6号まで、ラベルの種類は10種類ほどあります。会場にあった3号は純米吟醸。「巖」シリーズとは対照的で、スッキリとした味わいでした。
★ 金水晶 / 福島県 (有)金水晶酒造店
今回の出展蔵の中で一番気になっていた福島の酒蔵です。金水晶の文字を模したミニマルデザインのパッケージがとても可愛らしく品があります。
純米酒はいつでもスルスル飲めそうなひっかかりのない味で、ホッとします。お米の豊かな甘味がしっかり感じられる味です。金水晶はこちらの純米酒が、純米酒大賞2016金賞を受賞し、それが今回の出展のきっかけになったそうです。
金水晶 純米大吟醸 (写真中央)
普段は大吟醸よりも吟醸くらいが美味しく感じることが多い私ですが、金水晶は純米大吟醸が一番おいしく感じました。上品で柔らか、ふくよかな旨味と甘みのバランスが絶妙です。空中で結合していてほどけそうな、それでも味の要素がお互いに手を取り合って淡くつながりあう、儚さや脆さの中にキラリと光る確かな旨み、漠然とした表現ですが、そんな印象を受けました。
純米吟醸 なかどり 無濾過生原酒は洋食にも合うようなオシャレでキレイな味。日本酒が好きでない人にも受けそうなバランスと甘みが印象的です。
特別純米の無濾過生は、飲んできたのものに比べ少し尖った印象。鉱石感が増す感じでしょうか。パイライトのような。磨かれて、大吟醸になるのなら、「金水晶」の原石としては確かに納得という口当たりでした(パイライトは磨いても金水晶にはなりませんが…)。
★東力士 (あずまりきし) / 栃木県 (株)島崎酒造
こちらも初出展の酒蔵で、栃木県の島崎酒造。鳳凰美田や姿などおいしいお酒が増える一方の栃木、まだまだありました!
今回飲んだ印象で一番美しい絵が見えたのは、こちらの酒造さんの秋あがり。
東力士 純米吟醸 秋あがり
色鮮やかに紅葉した椛がその色のまま地に積もり落ち、その葉を北風がぶわっと空中に巻き上げ、美しい弧を描く。
ちょうどラベルの鮮やかな橙色とつららがしたたるような洞窟の入り口の弧と重なる景色です。
今回飲んだひやおろしの中では、一番つるんと綺麗で澄んだ味で好みでした。
東力士 純米吟醸 生原酒 愛山
口に含んだ瞬間喉にするっと滑り込んできます。なんだろうこの透明感は…!としばし絶句してしまうほどのお酒。生原酒なのに15度という度数なので飲みやすいのは確かなんですが、本当に少女のように無垢で愛らしい甘みが喉に綺麗な形のまま落ちていきます。危ないお酒です。
熟露枯 山廃純米 原酒 27BY
最後にこちらを冷と燗でいただきました。冷だとジューシー、燗だとその旨味がふわっとほどけて広がり、秋冬にはたまらない幸福感が襲います。買って帰りたい。
4月~11月までお酒を寝かせている洞窟の見学もできるそうなので、近いうちに訪ねたいと思います!