三度目にしてようやく足を踏み入れたリトルインディア食の巣窟”テッカセンター”。野菜やフルーツ、肉、魚、生ものから乾物までシンガポールの台所に必要な食材がなんでも揃います。
今回はここテッカセンターで購入したスパイスを使って、初めてのフィッシュカレーづくりに挑戦した様子を書いていこうと思います。
シンガポールでは定番?カレー×魚の組み合わせ
日本ではカレーに魚を入れることってあまりないと思うのですが、インドカレーでは鶏肉に並ぶくらい魚をメインにしたカレーというのはポピュラーなものです。白身魚の身の部分を入れるフィッシュカレーの他、見た目にもインパクト大の魚の頭がどーんと入った、フィッシュヘッドカレーという大人数で取り分けて食べるスタイルのカレーもシンガポールの名物料理として知られています。
フィッシュカレーの材料
今回わたしたちが挑戦するのは、身の部分を用いたフィッシュカレーです。
材料はこんな感じ。複雑な味わいのインドカレーがこんな少ない材料でできてしまうのか…。テッカセンターで購入したミックスパウダー(右上)とスパイス(中央)がおそらく味の7割を形作るのでしょう。
にんにく、生姜はおうちにあったもの。メインのお魚はゴマサバと真鱈を購入しました。お野菜はトマトと玉ねぎ。冷凍庫にストックしていたセロリのみじん切りも入れます。
写真のトマトは全量+途中でカットトマトのホール缶をまるごと1缶足しました。玉ねぎは小さいものなら2つ、中くらいなら1個半くらい。写真のココナッツミルク缶は400mlのもので、こちらも途中さらに100mlの小さいココナッツミルククリーム缶を足しました。すごい足してますね。何が起こったかだいたい想像がつきますね。
その他、調味は塩のみです。結構使いました。大匙1~2くらい。
基本は切って炒めて混ぜて煮込むだけ
スパイスから作るインドカレー自体初めてだったので、ネットで参考にしたのはこのあたりのレシピ。
参考
”フィッシュカレープロから学ぶ簡単家庭料理 シェフごはん
参考
シターラ青山のインド人シェフが教える本格チキンカレーレシピFOODIE
シターラのレシピはチキンカレーのレシピですが、手順などは主にこちらを参考にしました。
手順① : 玉ねぎをみじんぎり トマトはざく切り
まずはお野菜を切っていきます。
恐らくすごい量ができるであろうことは容易に想像がついたので、お友達にお手伝い&処理班要請を出していました。そのお友達が丁寧にみじん切りしてくれた玉ねぎがこちら。
続いて彼に切らせたトマトがこちら。
2人とも包丁がお上手です。
手順② : にんにくと生姜をすりおろす
続いて、にんにくと生姜をすりおろします。みじん切りや千切りにしてもいいそうです。
こちらはわたくしめが担当いたしました。手がすごく臭くなりました。今回生姜はあきる野の生姜祭りで購入したあきる野産の生姜です(どうでもいい)。途中で力尽きたので残りは千切りにしました。
手順③ : スパイスを炒める
お野菜を切っている間にスパイスを油で炒めます。油は心持多めがいいと思います。写真は大匙3くらい使っていますが、それでも少なめ。この後、日本みたいに油で固めたルーではなくパウダーを投入するので油分が少ないと粉っぽさが残ってしまいます。
テッカセンターのスパイス屋さんでパウダーを購入した際に、他に何か必要なものがありますか?と聞いて見繕ってもらったフィッシュカレー専用のスパイスミックス。見たことのないスパイスばかりで、もらった時は名前もわからなかったのですが、レシピを検索して黒い粒はマスタードシードということが判明しました。緑の種みたいなのはおそらくクミン。
炒めているととてつもなくいい香りがしてきます。そしてめちゃくちゃ跳ねます。身の危険を感じるくらい跳ねます。ポップコーンくらい跳ねます。でもポップコーンみたいに柔らかい姿になるわけでなく、固い粒のままパンパン跳ねるので本当に危険です。気を付けてください。跳ね始めたらいったん火を止めましょう。
手順④ : 玉ねぎと香味野菜を加えて玉ねぎの色が変わるまで炒める
身の危険を感じたので玉ねぎ、にんにく、生姜、セロリをどさどさっとフライパンに投入。玉ねぎの色がスパイスでほんのり黄色~飴色になるくらいまで炒めましょう。しばらく炒めていると、植物しか炒めていないのになぜか肉を焼いているような素晴らしく香ばしい匂いがしてきてテンションがあがります。
手順⑤ : トマトとパウダーミックスを入れて炒めながら練る
いい感じになったらトマトとパウダーを入れます。確実に油分・水分が足りていません。慌ててカットトマト缶を全量投入。練り練り練り練り…。
めっっっちゃ美味しそう!
インド料理のお惣菜屋さんでこういう感じの料理置いてありますよね。
手順⑥ : ココナッツミルクを入れて乳化タイム 弱火でぐつぐつ
炒め練りが終わったら、火を弱めココナッツミルクを入れて溶かしていきます。ナイルレストランのレシピによると、この煮込みでカレー全体の油と水分を混ぜ、乳化させるそうです。パスタを自宅でよく作る方なら、乳化の大切さはご存知ですよね。上手く乳化できるかどうかで驚くほど味が変わるのです。
さて、弱火で10分と書いてありましたが、そんなに持ちそうもありません。焦げそうです。わたし、彼、お友達、3人とも薄々勘づいてはいました。パウダーミックスが多すぎると…。
手順⑦ : 水を加えていい感じになったら魚を入れて火が通るまで煮る
フライパンで入れられるだけここでお水を足しました。500mlくらい。塩を大匙1入れて、味見。美味しいけど粉っぽい。めっちゃ辛い。
このあたりから焦りが見え始めます。ゆえに写真はありませぬ。申し訳ありませぬ。深い鍋に移し、冷蔵庫に運よく眠っていたココナッツミルク(クリーム状のもの)100ml、さらにお水も300ml足し、何とか魚をいれられるくらいのゆるさになったので魚を投入。ドタバタです。いろいろ足して薄めたのでまた塩を足しました。味見!めっちゃうまい!
初めてのフィッシュカレー完成
お魚を買ったスーパーで売っていた白ワインといただきました。
おいしい…!味見の時点でなかなかイケるなとは思っていましたが、落ち着いて食べてみるといやこれ本当においしいよ?お店開けるよ?改善点は多々あれど、日本のインド料理屋さんのカレーに負けず劣らずの本格的な味になりました。完全に魔法の粉とスパイスのおかげです。ありがとうスパイス屋のおじさん。
”スパイスで深みが出る”って日本で料理しているとなかなかピンと来ない感覚だと思うのですが、こういうことか!と思いましたね。日本の料理って出汁がベースに合ってその上に調味料のフィルターを重ねていく感じに思うのですが、フィッシュカレーはいろんなスパイスがマーブル状に混ざり合って一つの絵を作っていく感じというか。
すごく辛いのですが、口が痛くなるとかお腹が痛くなるような刺激的な辛さではなく、汗がどんどん吹き出て体の中が開いていくような辛さで心地よく感じました。たまらん~たまらんよ。昼、夜、次の日の昼、と食べましたが全然飽きませんでした。
お魚は今回欲張って二種類入れてみましたが、ふわふわの白身魚は食感がよく、わたしは真鱈が好きでした。彼は味がしっかり出る鯖が好きと言っていました。この辺りはお好みですね。
ゴーヤとめんつゆを足すと日本のお米にさらに合う
ちなみに1日目の夜は薄切りのゴーヤとめんつゆを足してみました。個人的に大ヒットでした。メインの具がお魚なので、和だしとも親和性があるかと思い…。特に入れなくても、日本の粘り気のあるお米でも美味しく食べられますので気軽に試してみてください。固めに炊くとよいです。
初めてのフィッシュカレー 美味しく作るポイントと反省点
- パウダーの分量を量る
当たり前の人には当たり前かもしれない…でもミックスやし何がどれくらい入っているとか分からなかったのでとりあえず購入した一袋全部使ってしまいました。次回は量って考えてからチキンカレーを作るぞ!多すぎると粉っぽくなり、乳化仕切らず口当たりが悪くなります。
- 油は多めに
スパイスを炒める油とココナッツミルクしか油分を補えるものがないので、最初にスパイスを炒める油を多めにするか、香味野菜を炒める際に足すといいです。ナイルレストランの人のレシピのように、最後にスパイスの香りを油に移して、それを鍋に足すというやり方もありますが、洗い物が増えるのと調理中の幸せな匂いタイムが減ります…。
- スパイスが跳ねます
本当に思っているよりスパイスが跳ねます。小さいので肌に当たったり、目に入ったりすると大変です。気を付けてください。
- サバを入れるなら水煮缶が楽
生の鯖は骨抜きがめんどくさかったです。普段あまりお魚を調理せず魚用のピンセットがないならば、水煮缶を使うのが楽だと思います。鯖は味がしっかりしているので、カレーに入れても個性が消えず、また、香味野菜やトマトをたっぷり入れるので臭みも消え、インドカレーとの相性がとてもよい魚の一つと思います。
- 丁寧に練って乳化させる、粉っぽいなら思い切って油を足す
フィッシュカレー、美味しく作るのに大事な工程は手順⑤、⑥と思います。焦げ付かせないように練るのは少々大変な作業ですが、火加減を自分の腕力に合わせ、パウダーと水分・油がなじむようにじっくりとやりましょう。ココナッツミルクを入れた後もよく木べらを動かして焦げないように、弱火で丁寧に。わたしのようにアバウト料理すぎて粉っぽくなったら思い切って油を足してしまうのも手です。大匙1~2ずつ様子を見ながら。
スパイスとパウダーさえあれば、少ない材料で本格的でおいしいカレーが簡単にできてしまいました!インドカレー好きの皆さんも、ぜひチャレンジしてみてください!
※テッカセンターでの購入をお考えの方は、ジップロックを持参することをおすすめめします。パウダーミックスもスパイスもシーリングで密封してくださるのですがそれでも匂いが強烈で、裸で持って帰ってくると、開けたとき、すごいです。スーツケースがインドの香りに包まれます。