石の想像界ーーアートとアーティファクトのはざまへ 感想・考察

石の想像界ーーアートとアーティファクトのはざまへ

 

インターメディアテクは、東京駅の地下道から直結のKITTEという商業施設内にある。

IMTとは
日本郵便株式会社と東京大学総合研究博物館が協働で運営をおこなう公共貢献施設が丸の内JPタワー内にオープンしました。施設の位置する旧東京中央郵便局舎は、昭和モダニズムを代表する歴史建築として知られていた5階層のビルで、その2・3階部をミュージアム・スペースとして改装し、誕生したのが「インターメディアテク」(IMT)です。

http://www.intermediatheque.jp/ja/info/about より

2Fと3Fに渡って展示スペースが設けられているが、常設展や企画展の境目があまりなく、センスの良い展示の仕方でどのエリアも本当に居心地がいい。

何より興味深い展示物が目白押しである。

先日はたまたま買い物に立ち寄った際にその入口に気づき入ってみたという感じで、数十分しか見て周る時間がなかったが、この日は時間に余裕を持って行ったので、前回見ることができなかった特別展示「石の想像界ーーアートとアーティファクトのはざまへ」も見ることができた。

『砂漠の薔薇』と名付けられた鉱石や厚さ3mmに削り取られプレパラートに挟み込まれた鉱物の標本がずらりと並ぶトレース台、雲のようにもこもこした巨大な石など、「石」という物質のもつ美しさが、堪能できる展示だった。

石の想像界

思わず図録も買ってしまった。展示のテーマごとに分けられたポスター大ほどに広がる解説書が、畳み込まれてケースに収納されている。

我々が「石」と聞いて連想するものは似通ったものだと思う。その普遍的な「石」というイメージから、「石」の実体に視点を移すとこんなにも、「石」というのは千差万別で、自由で、カラフルで、ユニークなものだということを実感する展示だった。石、石、石。そして気づく、最初にイメージした「石」が、唯一無二の「石」であることに。

「石」と「人」は似ている。

「人」と聞いて思い浮かぶ顔。核は同じなのに、どうしてこんなにも違うのか。

そういえば最近友人が面白い記事を教えてくれた。


参考
https://wired.jp/2018/03/18/how-wikipedia-portrayed-humanity/WIRED

話が大きく脱線した。

石の実体は凝視され、作品として新たな生を受ける。人の想像力というのは、時に神の息吹ともなる。石が与えたイメージが、丸っきり違う表現や物質で具現化され「石」という物質では超えられない壁を、いとも簡単にすり抜けることができる。博物的に分類され標本として展示された「石」そのものに芸術性を感じ取ることも、想像力のなせる業である。

私自身「想像力」というのは人間が人間であるために最も重要なものであると思っている。「想像力」が芸術をもたらし、他者への思い遣りを生むのだと思うから。

これを書いているのは日付が変わって2018年の大晦日。来年も「想像力」を大事にして、様々な芸術に触れ、日々の生活に幸せを見出してゆきたい。

平成最後の12月に鑑賞できた展示が、この展示でよかったなと腑に落ちる夜更けであった。