【広尾】ブラッチェリーア ロトンド で女子会をしてきた話

広尾の商店街を抜けて坂道を下った中程にあるこじんまりとしたイタリアンのお店 “ロトンド”。

お勤め始めの頃、ランチでオススメのお店を聞くと会社の女性のほぼ全員が「ここがいいよ!」と勧めてきた。そしてたった一度ランチに訪問しただけで、わたしもロトンドを推奨する会に自らエントリーすることに至ったのである(実際そんな同好会はない)。

ロトンドを推奨する会の新参者として、ロトンドの新しい魅力を発見するという大義名分を果たすために、ロトンド夜の会を催した。会社の華と雑草(私)6名で、俗に言う女子会である。

女子会当日

当日は、体調が悪く会社を途中で抜けて点滴を受けてまで「酒は飲めなくてもロトンドのご飯食べたい…」という熱烈なロトンド愛を抱く人も参戦した。恐るべしロトンド。どうしてここまで彼女らを魅了するのか。

まだ空も明るい午後6時過ぎ。天気の好い日は、散歩道側のドアが全開になり、開放的な気分になる。

席に着き、まずは食べログのクーポンを使ってウェルカムドリンクで乾杯。

ほどなくして、どれも食指をそそるような盛り付けのアンティパスティ・ミスティが提供される。

ロトンドを推奨する会で、すでに夜も訪れたことがあるという古参の方に「前菜の盛り合わせはマストよ」と吹聴された通りに予約しておいたものだ。

左からブッラータチーズとパルマのプロシュート、

ヒラメのカルパッチョ(お花!)、

アイナメと水ナスのフリット、ジャガイモとチーズのグラタン。

どれも食感や味わいのバランスが三者三様でおもしろい。調理の仕方が繊細だし、素材もいいものを使っているんだろうなと感じる。

なかでも生ハムが突出しておいしい。カウンターには原木があり、聞くとワインを熟成させた後のバリック樽を用いて風味付けをした稀少なものらしく、タグを見せてくれた。2015年とシリアルナンバーがふってある。

「もう残り少ないので、ぜひ召し上がっていってください」スキンヘッドだが笑顔に茶目っ気のあるオーナーに勧められ、言われるがままに盛り合わせで食べたブッラータチーズと生ハムのLサイズを頼むことにする。

ワインセラーに一番近い席に座っていたこともあり、ワインを選ぶ大役を奉った。マグリットの絵を彷彿とさせるパイプのイラストに”this is not a rosé”と描かれたシールに目が止まり、一目でこれと決めた。

イタリア、アブルッツォ州のロゼ、Binomio ビノミオ 2014。

美しい色で、ザクロジュースのような赤、透明感もあり宝石のような質感も感じられる。人の手がほとんど入らず、土壌の持つ腐食の力が栄養源となるため肥料も使わない畑で造られたブドウを用いているという(ソース)。

味わいは力強いが調和がとれているので重いというよりは濃いという感じ。生の蜂蜜を舐めたような甘みに、苦味もちょうどよく、余韻が心地よく広がっていく。濃厚なブラッターチーズと塩気の強い生ハムとの相性は抜群だった。

6人もいると料理もワインもあっという間。お次は旬のホワイトアスパラガスの目玉焼き乗せにサマートリュフをたっぷりとかけた一皿。

眼の前でこれでもかというほどたっぷりと削る削る、かけるかける。ここが広尾の商店街でなくイタリアなら、間違いなく観光客狙いのぼったくりレストランに捕まってしまったと冷や汗が止まらなかっただろう。

お次のワインはシチリア州エトナの赤。Tenuta Monte Ilice / Capinera dell’Etona DOC テヌータ・モンテ・イリーチェ / カピネラ・デレトナ 2011。

骨格があるけど重すぎない、個性のあるワインだった。先のロゼもこのエトナも調べても買えるところがなく残念だが、それだけロトンドが、イタリア産の貴重なワインや食材を仕入れることができるコネクションを持っているということでもあるのだろう。

なんだかんだお腹も一杯になってきたところでパスタの2種盛りで〆。牛肉のラグーソースとウニのレモンクリームパスタ。

ロトンドはランチのパスタも手打ち麺と濃厚なソースでご褒美にぴったりな内容なのだが、夜はさらにリッチ度が増してお肉がゴロゴロトロトロ。

ウニの方には生ウニがトッピングされる。

「もうこれはパスタやない、別の料理や」と思わず関西弁で脳内に感想が漏れる。

最後はご好意で特濃リモンチェッロをいただいた。キュッと頭が冴えたところでお会計。

ドキドキのお会計

6名で48,000円=1人あたり8,000円。決してコスパがいいとは言えないけれど、参加した女性陣は満足気なのでよしとする(私は帰ってからどうしたら48,000円になるのかめっちゃ考えたけど)。

今回はアラカルトで注文していったので高くついた印象だけれども、お料理のコースは夜でも3,500円〜あるので、そちらを利用したらワインのボトルを空けても6,000円くらいで済みそう。

夜会で判明した通り、市場にあまり出回っていないワインを取り扱う傾向にあるので、イタリアワインのニッチなところに手を出したい人にもオススメできる。

ただ、お料理だけ見るとやっぱりコスパが良いなと思うのはランチ。パスタの2種盛りにたっぷりおいしいサラダとパン+新鮮なオリーブオイルがついて1,300円なので、ロトンド未訪問の方は、まずランチから。ぜひお試しあれ。