【今日の酒】#16「浦霞 銀ラベル」(新宿 樽一にて)

【今日の酒】#16「浦霞 銀ラベル」

先日、大分から遊びに来た友人カップルを連れて新宿の樽一さんにお邪魔してきました。

創業50周年を迎え、店頭にはお祝いのお花がいっぱい!

まずは琥珀ビールで乾杯。

お通しは柿の和え物。樽一さんはお通しがいつも一品料理のクオリティ。

舟盛り。実はこれが樽一さんで初めての鯨…2桁は来ているのにも関わらず!食感がコリコリしていて、脂も臭くなくどれもおいしくいただきました。アップの写真は「本皮」と呼ばれる部位。

今日の酒の紹介

2代目しんちゃんお早い登場。お任せで日本酒をお願いすると、持ってきてくれたのが浦霞の銀ラベル。

銀ラベル・・・だと!? ざわざわ

ね、そうなるでしょう、そうでしょう。

樽一=金ラベルのイメージがある常連さんほど驚くと思います。例に漏れず目を丸くするわたしたちにしたり顔のしんちゃん。50周年を記念して特別に醸造されたお酒なので、知らないのは当たり前なのですが、火のないところに煙は立たず。樽一の常連さんたちの間で実しやかに囁かれていたのが、こちらの銀ラベルの存在だったそうです。

とはいえ、樽一の2代目しんちゃんも浦霞醸造元佐浦の社長さんもどちらもお父様を亡くされていて、従業員の中にも知っている者がいない。こうなったら新しく銀ラベルを造っちゃえ!という心意気の元、樽一の50周年という絶好の機会もあり、生まれたお酒です。

今日の酒のお味は?

それではさっそくしんちゃんに注いでいただき、銀ラベル、いただきます!

フローラルな薫り

お猪口を鼻に近づけると・・・すぐさま柔らかい花の香りがします。とても華やかです。

ちびり。

む、

むむむ。

これはなんとも嫋やかな女性らしいお味。黒髪のお嬢様がイメージされます。香りの印象とはまた少し違う控えめで上品な味わいが、舌の上でまろやかな旨みとなって広がります。

浦霞、こんな味作れちゃうの・・・!という驚きが隠せません。ブラインドで出されたら、浦霞とは紐解けないであろう、いい意味で浦霞らしさを裏切っています。完成度がすごく高いです!

既存の浦霞シリーズとまるっきり違う印象を受けるのは、醸造にあたり協会12号酵母を使用しているのが大きいと、しんちゃんはいいます。

協会酵母って?
協会酵母とは、明治時代に始まった酒税政策の一環で作られた酵母です。造るお酒が美味しい蔵から酵母をもらい、純粋培養し、全国の酒蔵に頒布するという仕組みの上に成り立っています。

そして協会に預けられた酵母は順に番号が振られます。例えば新政酒造の協会酵母の番号は6号です。そう、あのNo.6は、新政酒造が協会に預けた自分たちの酵母を使って造ったお酒なのです。

この銀ラベルも、命名は違えどNo.6と話はそう変わりません。協会酵母12号とは、浦霞の吟醸醪から分離された酵母なのです。以下Wikipediaより。

協会12号
通称「K12号酵母」「浦霞酵母」「初代宮城酵母」など。「K-7グループ」に属する。昭和40年(1965年)宮城県酒造組合醸造試験所の佐藤和夫らにより、同県『浦霞』吟醸醪から分離。低温長期型醪となり、山廃にも適し、芳香の高い吟醸酒向き。特有の吟醸香を醸し出すが、極度に水と造りを選ぶので一般的とはいえない。協会系酵母としては平成7年(1995年)まで頒布された。

…話がマニアックな方向に逸れてしまいましたが…銀ときたら次は金を頼まずにはいられない私達。

並べてみるとなんともめでたい絵面に。

大分からの友人も「良い時に来たね」と大満足。やっぱり大事な人を東京で飲みにつれていくとなったら、樽一さんでハズレはありません。

浦霞 銀ラベルは全部で1000本の限定醸造。樽一50周年記念のイベントで、既に300本近く空いてしまったということなので、気になる方はぜひお早めに足をお運びくださいね。