2018年8月某日現在ラッフルズホテル閉鎖中
シンガポールの名門、ラッフルズホテル。1887年にオープンして以来、受け継がれ褒め称えられてきたサービス、ホスピタリティは、2018年8月現在、大改装中のため、年末までお預け状態。宿泊することはできなくなっています。また19世紀の様式で造られた美しい白亜の本館は、パステルブルーの囲いで覆われてしまっています。
この囲いにも上の写真のようなイラストがプリントされていてとてもオシャレなんですがそれはさておき、サービス・ホスピタリティ・建築の他にもう一つ、ラッフルズホテルを語る上で欠かせない、大事な要素であるシンガポール・スリングが、改装前と変わらずに楽しめるポップアップ・バーが営業していること、ご存知でしたでしょうか?
元祖シンガポールスリングの考案者がお出迎え
仮住まいのポップ・アップ・ロング・バーの玄関口で出迎えてくれるのは、1915年、シンガポール・スリングのレシピを考案したバーテンダーのニャム・トン・ブーンさん(Mr. Ngiam Tong Boon)。当時、植民地時代の終わりを迎えつつあったシンガポールで、紳士たちは、ラッフルズホテルに集まりジンやウィスキーを楽しんでいました。一方で淑女たちは公共の場でアルコールを摂取することはマナー違反として認識されていました。
そこでニャムさんは、淑女たちのためにまるでフルーツジュースを飲んでいるかのような、アルコールに見えない女性らしいピンク色のカクテルを作り出したのです。
それがラッフルズホテルのオリジナル・シンガポール・スリングでした。
シンガポール・スリングを注文!
中に入って早速お目当てのオリジナル・シンガポール・スリングをオーダー。女性のために編み出されたシンガポール・スリングですが、店内では男性のグループも皆さんシンガポール・スリングを楽しんでいました。甘さの強いカクテルなので、甘いのが苦手という方はジン・スリングか、ジン・トニックがおすすめ。また、お酒の飲めない人もヴァージン・スリングというノンアルコールカクテルが用意されているので安心です。
薄い桃色の壁紙でやさしい雰囲気のある店内。元々のロング・バーよりもずっとカジュアルな雰囲気です。
そしてオーダーからほどなく、念願のシンガポール・スリングが到着!
やわらかな口当たりの後、複雑な甘さの中にパイナップルやライムのさわやかな酸味が後を引きます。ニャムさん、見た目も確かにフルーツジュースみたいですが、飲み口もフルーツジュースみたいです。ごくごくいっちゃいますよこれは。
またテーブルには、ピーナッツの入った麻袋があり、自由に食べることができます。隣の木箱は殻入れです。
普段殻付きのピーナッツってあまり食べないのですが、これがまたすこぶる美味しかったです。
ピーナッツの殻は木箱じゃなくて床に打ち捨ててもいいらしいです。でも私はできない(隣の日本人の女の子もあれはできないわ…と言っていた、確かにそうだ)。
ラッフルズのマークが銀色で印刷されたコースターもとっても可愛い。
ごちそうさまでした。
ラッフルズ・ホテルのオリジナル・シンガポール・スリングのレシピを大公開!
ここで、ラッフルズ・ホテルのオリジナル・シンガポール・スリングのレシピを大公開!あなたのお家をロング・バーに!
Singapore Sling Recipe
- 30ml Gin (ジン)
- 15ml Cherry Liqueur (チェリーリキュール)
- 120ml Pineapple Juice (パイナップルジュース)
- 15ml Lime Juice (ライムジュース)
- 7.5ml Cointreau (コアントロー)
- 7.5ml Dom Benedictine (ドム ベネディクティン)
- 10ml Grenadine (グレナデンシロップ)
- Dash of Angostura Bitters (苦いリキュール)
- Pineapple Slice & Cherry Garnish
ニャムさん>「パイナップルスライスとチェリー以外の材料をシェーカーでシャカシャカしてね」
でも普通のお家にベネディクティンなんて、あるのでしょうか…。ましてや、最後のDash of Angostura Bittersなんて聞いたことないんですけど…。
はい、私と同じく困惑したあなたはぜひ隣のギフトショップへ。こちらでは各種フルーツジュースさえあればシンガポール・スリングが作れちゃう特製リキュールや、オリジナルグラス、シェーカーまで売っています!
移設後の場所に要注意!
さて、このポップアップバー、ラッフルズホテルのギフトショップに併設された形でオープンしているのですが、現在Google mapでラッフルズホテル・ギフトショップ、及びLong Barを探した時のちょうど反対側に移設しています。旧ギフトショップがあったのはBras Basah Road、移設後は3 Seah Streetにあります。言葉では分かりにくいと思うので地図をご覧くださいませ。
ラッフルズホテルの正面で降りると工事をしている横や囲いをぐるっと回りこまないといけなくなるので、改装中、仮設ロング・バー&ギフトショップへバスで行こうと思っている人はビーチロードの方のバス停で降りるのが良いと思います。
仮住まいと言えど、シンガポールの歴史やラッフルズホテルの伝統を感じられるラッフルズホテルのシンガポール・スリング。隣の子が「私のいつもの食費の3日分…」と呟いていて思わず心の中で強く頷いてしまったけれども、31$の価値はある一杯です。旅の思い出に、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。