線香づくりに初挑戦!コーン型のお香はどうやって作られるの?体験してきました

強く心が惹かれると、あちらから機会がやってくるのか。

先日上野「転合庵」にて初めての香道体験をしましたが、クリスマスの連休初日、お次は友人に誘われて「線香」を作るワークショップへ行ってきました。

東京国立博物館庭園にあるお池 2mmの木片が手招く神秘の扉 – 初めての「香道」体験記

講師は薫物屋香楽で認定講師として国内外でワークショップを開催されている斎藤 さなえさん。

Idées Japon でフランスに渡り、フランス人向けに日本のお香文化体験の講師をしたこともあるそうです。

普段は区や市の要請で公民館等の公共施設にて活動されているそうですが、今回は友人を通じてのプライベートなワークショップに参加して来ました。

①お香の歴史、調合の仕方のレクチャーを受ける

 

お香体験

最初にざっくりとお香の歴史について触れ、パンフレットや調合のためのメモを見つつ、「線香」をどうやって調合していくのかレクチャーを受けます。

お香の材料

粉末状になったお香の原料がずらりと並びます。これらの香料をスプーンで十杯を目安に調合していきます。

②香の原料を聞きながら作りたい香りをイメージ

できあがりの香りのイメージを膨らませながら、まずはベースとなる4種類の香を聞きます。

沈香と白檀

ベースに使うお香は「シャム」「タニ」という2種の沈香と「老山白檀」「根木白檀」という2種の白檀で計4種類。

この中から2種~3種を選び、最初は4杯の中でブレンドしていきます。

調合する10杯中4杯がベースの香料ということになります。

香炉

香炉の灰の上に火をつけた炭を乗せ、直接お香の粉を焚きます。

沈香のシャムは華やかな甘い香り、タニはさっぱり、老山白檀は温かい甘さ、根木白檀は濃厚な甘さが感じられました。

続いて12種類の原料をパンフレットを見ながら聞いていきます。

お香体験のパンフレット

スパイスや漢方で比較的馴染みのある香りから、思わず眉をひそめてしまうような香りまで、色々あって面白い!

大茴香(だいういきょう)=スターアニスは聞こえた瞬間、銀色の星が散らばる宇宙のような風景が見え、貝香(かいこう)という巻貝のフタを粉末にしたものは、その通り海と船がイメージされました。貝香は香り自体も塩辛いです。

それぞれの香りにそれぞれの色が見え、わくわくしてきたところで作りたい香りの名前を決めます

友人は「あたたかな夕日」、わたしは「銀箔月海(ぎんぱくげっかい)」と名前を決めました。

百合の様な気品のある甘さ、距離感のある優美な香りにしたいというイメージです。

③すり鉢で調合していく

お香の調合に使うすり鉢

名前を決めたら、ベースから調合していきます。

まずはタニ1シャム2老山白檀1をブレンド。

タニとシャムを入れたところでゴリゴリ、老山白檀を入れたらゴリゴリという感じで1つ追加するごとに擦りまぜます。

お香づくり

少しずつ少しずつ、さなえ先生にアドバイスをもらいながら、時には0.1杯という微妙な量を調合して、混ぜたら焚き、混ぜたら焚きを繰り返します。

ほんのわずかな量でもガラリと印象が変わる調合の繊細さと格闘し、気づけば約1時間半が経過

最後の1杯を足して焚くと、「上品な香り!」と先生が目を見開いて褒めて下さって嬉しかったです。

この時既に友達の彼は成形に移っており、わたしが一番難航していたのですが(こだわり症の難点)、イメージに近い香りができた時のうれしさといったら!

わたしの香りのレシピはこちらです。

銀箔月海 (ぎんぱくげっかい)

  • 沈香 タニ 1 シャム3
  • 老山白檀 2
  • 龍脳 0.5
  • 丁子 2
  • 桂皮 0.25
  • 甘松 0.25
  • かっ香 1
  • 安息香 0.1
  • 零陵香 0.25

TTL = 11.25 杯

ご覧の通り、ちまちまちまちま香りを混ぜてトップノートが繊細な香りになりすぎたので、最後にベースを足して厚みを持たせたりしました。

すりきりや0.25杯などの加減が人によって違うので、二度と同じ香りは作れない、そうですが…。レシピが出来上がると達成感がありますね。

④たぶ粉、炭粉、麝香を入れる

最後にのり材となるたぶ粉

椨粉

カビ防止・着火剤の役割をする炭粉を入れ、

炭粉

ラストスパートゴリゴリ。

炭粉を入れてゴリゴリ

麝香

炭粉を混ぜた後、先生のお計らいで酒溶麝香を数滴入れさせてもらいました!これでさらに香りに奥行きと気品が加わります。

酒溶麝香とは、高級原料である天然麝香を日本酒で溶いたものです…。じゅるり(←?)。

⑤水を入れて成形できる緩さにする

お水を調合時に使ったスプーンで数杯ずつ、様子を見ながらすり鉢の中に入れていきます。

水を入れて練る

段々泥団子のような質感に…。

⑥コーン型に成形

 

お香をコーン型に成形

手のひらや指先を使って、一つずつ三角にしていくのですが、これがなかなか、難しい…。

「線香」と聞くとスティックタイプのものを思い浮かべますが、今回作ったのはコーン型のタイプ。

並べていくと小さな生き物に見えてくる。動き出しそうです。

⑦完成!

お香完成

2時間を予定したワークショップですが、気づけば3時間近くが経っていました…。

半乾きの成形したものを容器に入れて持ち帰り、お家で乾かして完成!になります。

薫物屋香楽の容器

お香立を持っていないので、まだ火をつけていませんが、火をつけなくても一つ出してお部屋に置いておくだけでほんのりよい香りがして幸せな気持ちになります。

お香づくり体験感想

「お香」繋がりではありましたが、自分の手と感覚を使ってお香を”作り上げていく”という体験は、先日の香道体験とはまた違った香りに対するアプローチで面白かったです。

手を動かしながら集中する時間は、普段脳みそを使用している領域とは違う場所が刺激されている感じがあって、体験が終わった後はすごく頭がすっきりしました。リフレッシュ効果がとってもあると思います!

絵を描いたり、曲を作ったりするのと似ているのかなと思いました。

貴重な体験に誘ってくれた友人とプライベートレッスンということで至れり尽くせりに手解いてくださったさなえ先生、ありがとうございました!

2019年は「香り」がわたしにとって一つのキーワードになりそうな予感!