PART1はプレミアムコンサートの概要と開演に至るまでのイベントで終わってしまいましたが、PART2ではプログラムの内容にも触れていきたいと思います!
古関 裕而 「オリンピック・マーチ」(1964)
1964年に開かれた東京オリンピックのテーマ曲です。作曲された古関裕而さんは、阪神タイガースの「六甲おろし」をはじめ、スポーツシーンで親しまれる多くの曲を残しており、この抜擢も頷ける実力の持ち主でした。2020年の東京オリンピックではどのような曲をどんな方が手掛けるのか、楽しみですね。
今回のプレミアムコンサートの指揮はブルガリア生まれのロッセン・ゲルゴフさん。日本人の作った曲をどう演奏されるのかワクワクしていましたが、メリハリのある指揮でとても楽しめました。
グリンカ 歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
歌劇「ルスランとリュドミラ」は、結婚式の宴の最中、魔術師にさらわれた花嫁リュミドラを騎士ルスランが様々な困難に勇猛果敢に挑みながら、奪還するお話。
序曲は様々なオーケストラがレパートリーの一つとして今でも演奏されることが多いそうですが、全体を通してとなるとなかなか耳にする機会は減ってしまったようです。子供でも大人でも分かりやすいストーリー性のある「メルヘンオペラ」に分類されるこの歌劇。ぜひ通して聴いてみたいですね。
目が回るくらい快活なパッセージと途中短調にもなるテーマのメロディが印象的です。今回前から5列目という目でも楽しめる席での鑑賞でしたので、このパッセージの一糸乱れぬ音と指のなめらかな動きには感動してしまいました。
幾分速い振りだったのですが、本当に呼吸がぴったりで、指揮についていくというよりは100m走を各々が猛ダッシュしていたら何故かぴたりと速度が同じになってしまったというようなスカッとする爽快感がありましたよ。
中盤の洞窟に迷い込んだような魔術師に幻惑をかけられているような部分では、打って変わってどこからかシクシクと鳴き声が聴こえてきそうな、奇妙で美しい童話の闇の部分が描かれているようでゾクッとしました。
結末はハッピーエンドのこの作品。フィナーレも疾走感を残したまま、キレッキレの壮大さで幕を閉じます。序曲は名曲ぞろいといいますが、確かに物語を凝縮したような、ダイジェスト版を見ているようでとても楽しく、お得感がありますね。
ドヴォルザーク 交響曲 「新世界より」
第9番 ホ短調 op.95 B.178
無料のコンサートでこれやっちゃうのか…!
というくらいの大曲です。指揮の方の手指の繊細な動き、オーケストラのダイナミクスに飲み込まれ翻弄される1時間弱。
第1楽章~第4楽章通してどこかで耳にしたことのある旋律が目白押しで、クラシック音楽に聞きなれてなくてもあまり退屈させない曲なのでないかな、と思うのですが、しかし、この曲が始まるくらいから、前列の女の子が痺れを切らし、ヤダヤダと固いビニールを延々とガサガサ、しまいにはおもちゃのコインをチャリーン、隣の親御さんも一緒に話す&ビニールガサガサの共犯に、本当に素晴らしい演奏だったはずにも関わらず集中することができませんでした。泣ける。本当に、憤り通り越して泣けてくる。
それでも第2楽章のLargo、日本でもこのメロディに歌詞をつけ「家路」という歌としても親しまれている、ホルンの美しき旋律には心が洗われるようでした。別の涙が流せたのはここだけ。
その後もビニールのガサガサが消し飛ぶような、ところどころにあるトゥッティやフォルティシモは耳が幸せでしたよ。
アンコールは先日 日フィルの演奏で聴いたスラブ舞曲の10番。ホールの違いもありますが、都響のヴァイオリンは何かの鳴き声のように聞こえるんですよね。人知の及ばない生き物がいて歌っているような、もっと聴こえない音がいっぱいあるんじゃないかなって思わせる音。不思議。
正直このヤダヤダガサガサ事件が心に沸々しすぎていて、筆が重くこの記事自体書くのを迷いました。
子供のマナーは大人が教えないと身につきません
母の隣も小さい子がワサワサしていてしばらく目障りだったそうですが、そちらはお父さんが注意して途中から収まったそうです。
そもそも4歳児以下は入場できないのですが、それにしてもマナーの悪さが目立ちました。小さい子は悪くないのです。予め教育や躾ができない親御さんに責があると私は思います。今回の公演が無料だから、気軽に楽しむがコンセプトだからといって、コンサートホールは子供の遊び場ではありません。お子さんを連れてくるなら、事前に言い聞かせる、お家でCDをかけるなりして「これくらいの時間おとなしくしていないといけないよ、できる?」と問いかけてできないようなら辞退するなどするべきです。
そもそもホール内には音の鳴るものを持ち込んだらいけません。
小さいころから質の高い文化や芸術に触れるのは素晴らしい事ですし、そういう機会がもっとたくさん増えればいいなとは切に思いますが、周りへの迷惑を考えることや敬意の払い方、その場の空気に合わせた態度をとるといった教育は大人がしなければなりません。
コンサートのレポートなので今回はこのくらいにします。この企画自体はクラシック音楽を普及する上でとても素晴らしいものだと思いますし、ぜひクラシック音楽を聴いたことがない!という方に足を運んでもらいたいと思いますが、最低限のマナーは覚えていきましょう。クラシック音楽のススメのマナー編でも詳しく書いています。
演奏者の方も聴きに来た方も、双方が気持ちのいい空間が当たり前になることを願って。
それでは、また。
(以下前記事よりコピペのプレミアムコンサートの情報です)
多摩と島しょ地域限定!クラシックを気軽に楽しめる無料のコンサート
今回のプレミアムコンサートは、東京都とアーツカウンシル東京が主催する「クラシックをもっと気軽に」というコンセプトの無料コンサート。2020年の東京オリンピックに向けてという意向もあるらしく、オリンピックにゆかりの深い都響が演奏する運びになったのでしょう。
多摩と島しょ地域限定の開催ですが、申し込みはどなたでも可能です。この機会にクラシック音楽を楽しんでみてはいかがですか?オーケストラ公演は残り2つ、東大和公演と都心からもアクセスしやすい立川公演が残っています!
プレミアムコンサート〜未来へのハーモニー〜
残りのオーケストラ 公演
東大和公演
2017年11月18日 (土)
開演時間 15:00 終演予定時間 16:10
場所:東大和市民会館ハミングホール 大ホール
西武拝島線「東大和市駅」より徒歩7分
立川公演 ※11月下旬応募開始
2018年2月4日 (日)
場所:たましんRISURUホール
残りの室内楽 公演
檜原村公演
2017年11月25日 (土) 14:00開演
場所:檜原村やすらぎの里
日の出町公演
2017年12月2日 (土) 14:00開演
場所:日の出町やまびこホール